こんばんは、キッチンと申します。
本日は、卒研シリーズの第3回になります。いつもご覧いただきありがとうございます。
このシリーズも残すところあと2回になりますが、最後までよろしくお願いします。
それでは、早速本文に移っていこうと思います。
1. 卒業研究に対する心構え 続き
1-1. 研究手法を学ぶとは
研究手法を学ぶとは何かと聞かれたとき、あなたは何と答えますか?
著者はこの問に対する答えは1つしか無いと言っています。
研究手法を学ぶとは、古典的な論文をひたすら追試し、実験手法から論文の書き方を学ぶことである。
上記の方法は、とにかく時間がかかります。論文を読み、実験し、論文の形式を知り、その形式に沿って自分も論文を書く。
しかし、この方法は最も効率が良く、これ以上の近道はありません。
一見すると遠回りにも見えますが、「急がば回れ」を体現した例であると私は考えています。
1-2. 研究とは、ジグソーパズルである
研究をジグソーパズルに例えるのも良い例です。
よくわからないピースを見つめていてもパズルは一向に進みません。普通は角のピースを探して、埋めて行きますよね。
研究でも同様に、事実という角から埋めていき、やがて中央付近の真理にたどり着くことが目標となります。
ジグソーパズルは、終盤になると一気に埋めることができるようになりますよね?
研究にも同じ部分が有り、最初の角埋めがすんなり進み、中盤の苦しい時期があり、それを乗り越えた先に凄まじい進展が待っているのです。
辛い時期こそ、もうひと踏ん張りですよ! 頑張りましょう。
1-3. 化学者に向いている人間とは
化学系に偏った話になりますが、化学者に向いている人間を考えてみようと思います。
結論から述べると、化学者に向いている人は分子や原子の形や動きをイメージできる人です。
コンピューターが発展し、量子計算等で反応のシミュレーションもできる時代になっても、未だに分子模型が使われている理由がわかりますか?
それは、先程述べた分子や原子の形や動きをすぐに確認できるという点で分子模型が優れているためです。
スーパーコンピューターが使える時代になっても、研究室レベルで即座に使えるものということを踏まえると分子模型に理があるのです。
ここで、最初の話に戻ると、化学者に向いている人は頭の中に分子模型を持っている人ということになります。
専門家の直感というものも、このような頭の中のイメージに起因すると考えられます。
私の話になりますが、中学の時に初めて原子の存在を知ったときは世界観が変わったことを思い出しました。
普段見ているものも、全て原子から成り立っている。それを知っただけで周りが原子の球体の集まりに見えるようになったのです。あの頃の感覚を大切にしたいと思います。
1-4. 実験結果を第一優先とせよ
以前にも似たようなことを述べましたが、研究において実験結果は最も重要なものです。
実験結果が予期せぬものでも、それは重大な発見になったケースは数多く存在します。
私が好きな「ナイロンが発見された話」をしましょう。
デュポン社のカロザースは、捨てるはずの試薬を放置しておいたために、試薬が固まっているのを見つけました。しかし、彼はその固まった試薬を捨てること無く、分析したことでナイロンは見つかりました。
大切なことは、実験結果を事実として受け止めることです。理論と異なるからと言って、簡単に通り過ぎてしまうのはもったいないことなのです。
1-5. 事前調査が大切
卒業研究における事前調査はどのくらい行うのが良いのでしょうか?
この問に対する答えを先人たちにならって考えてみましょう。
燃焼理論において活躍したラヴォアジエは、新しい分野の研究を始める際に1年の調査を行ったと言われています。
また、芸術の分野でも準備期間は共通しており、音楽家のモーツァルトも新曲を作るまでに1年の準備を要したと語っています。
しかし、学部における卒業研究は1年にも満たない短期間で行います。
したがって、その準備期間は2, 3ヶ月と見積もるのが良いでしょう。
準備期間は、先行研究の調査を行い、必要な実験技術を身につける必要があります。
院試勉強や就活、授業などと並行して行うため、忙しくなるとは思いますが学部の卒業研究は、研究の体験期間と気軽に考えて取り組むくらいで良いと思います。
1-6. 研究に必要な4要素
研究に必要なものは、次の要素です。
忍耐は、ストレスや長時間作業に対するものです。何か1つでも長期間続けられたものが無いという方は、他のこと(好きなことなど)との切り替えながら乗り越えると良いでしょう。梅毒の薬を発見した泰佐八郎は、606回目の実験でようやく有効な薬を発見しました。皆さんもこのくらい繰り返す気持ちで頑張りましょう。
器用さとは、手先の器用さのみならず、データの取扱いや書類作成、発表技術なども含んだものです。自分にない技術等は、先輩方から盗むようにして自分のものにしましょう。
幸運、これは我々にはどうしようにもできない要素です。しかし、幸運を見逃すか、否かは本人次第です。偶然の現象も見逃さなかった研究者によって、ナイロンやペニシリン等は発見されました。執念深く観察することを心掛けましょう。
お金がなければ良い研究も出来ないというもの。研究資金を調達することも研究者の素養の1つです。研究資金の申請書の作成も学生のうちに身に着けたい技術です。「こうすれば上手くいくと思うので、お金をください」ということを述べるのが申請書です。申請書を書くのが上手い研究者はビジョンが明確に見えていますから、研究も上手いのです。お金持ちの研究室というのは、それだけでも優秀な一面を持つと考えて良いでしょう。
【最後に】
本日の記事はいかがでしょうか?
次回がこのシリーズの最後になります。私自身も記事を書くことで心構えを再認識しています。
当たり前だけど、忘れがちなことは沢山あると思いますので、何度か読み返してもらえたら幸いです。
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